従来の教室中心の英語教育から、実際の世界で活かせる英語教育への移行。
“Open Seas for Global Friendships” 構想の出発点
吉田:2014年にこの本(Open Seas)の構想を練り始めた頃っていうのは、まだ新しい学習指導要領も出来上がってなかったし、文科省でもまだ専門家たちが議論している最中だったんですよね。だから、あの段階ではまだCan-doという概念は直接はなかったわけです。
藤田:そうですよね。あの時の構想から10年かけて作ってきたわけですが、2014年の時点では先を行き過ぎていたと考えられていたことが、10年の時を経た今になって、時代の方が追いついてきたんですよね。
吉田:そう、その時代からもう教室中心の従来型の英語教育では今後は持たないと感じていました。そこで学んだ知識を実際の世界でどう活かすか、そっちに焦点を置いたものを作る必要があったんです。
藤田:そういう意味で、今回の教科書は非常に充実したものになったと思います。通常の教科書では文構造や語彙の理解がまず第一ですが、今回はそれらを取り払って、この場面でどういう表現をしたらいいのかをまず考えました。その後、Open Seas を教科書として成り立たせるために整理をしました。
吉田:結果的に、4技能5領域を通して内容面を重視することができました。単語や文型をどう使うかではなく、何についてどう語るか、どう書くかに焦点を当てたんです。
藤田: 各課が4技能5領域を全て通して必要とされる表現をバランスよく取り入れていることも大きな特徴ですね。同じテーマを段階的に深めることで、生徒たちはより深い理解と実践的なスキルを身につけることができます。
吉田:しかも、その内容も順番を経ながら、4技能を通して必要な表現をしっかり身につけていけるようにしています。単なるリーディングだけでなく、スピーキング、リスニング、ライティングでも繰り返し使うことで、重要な表現が定着するようにしています。
藤田:さらに、教科書内のアイコンを使って、生徒が次に何をするべきかを直感的に理解できるようにしています。これにより、英語だけの内容でも戸惑うことなく学習を進めることができます。
吉田:各課の最初に「この課は何を目標としているか」を明確にし、最後に自己評価ができるような評価方法を導入しています。これが生徒と先生にとって非常に役立つんです。
藤田:そうですね。今回の教科書は形式的な知識の詰め込みではなく、実際に使える英語力を育成することを目指しています。これにより、生徒たちは実際の世界で英語を活用する力を身につけることができます。
吉田:新しい学習指導要領とそれに対応する教科書の進化は、英語教育において重要な転換点となりました。実際のコミュニケーションに必要なスキルを総合的に育成することで、生徒たちがグローバルな社会で活躍できる基盤を築いています。
藤田:まさにその通りです。これからも生徒たちが実際の世界で英語を活用できるように、私たちの教科書がその一助となることを願っています。